プロ・ピアノ指導者の方のレッスン
《水野直子ピアノ・チェンバロアカデミー》では、プロ志望、ピアノ指導者の方へのレッスンを行なっています。
(秘密厳守いたします)
技術の改善
指が速く回らない、速いパッセージになると腕が硬くなる、などテクニックの面で壁に当たっている方に、無理なく、効果的に音を響かせる奏法をお教えしています。
私もこれまでは、リストやラフマニノフといった、大曲を演奏してきましたが、決して大きな手や骨格を持っているわけではありません。自分の体を観察する目と脳を養い、効率よく楽に、そして美しい姿勢で演奏するテクニックを身につけましょう。
そうすることで、音色も変わっていきます。
バロック奏法、解釈について
ピアノととチェンバロの両方を弾いている」、とお話しすると、必ずと言って良いほど
「実はもう一度バッハの《インヴェンションとシンフォニア》を勉強し直したい」
「もっとバロックのレパートリーを増やしたい」
「バロックは好きだけどレッスンのやり方がわからない」
などのご相談を受けます。
私も同じような思いを何年も抱え、学生時代を過ごしていました。
でも学生時代は、良くも悪くも試験や課題に追われ、一つのテーマを絞って、深く探る時間を持つことは難しいことです。
そして、人は、年代によって、興味のあるものが変わっていきます。
若い頃の私は、バロックへの憧れはあれども、リストの華やかで、独特の和声に夢中になり、頭の中はヴィルトゥォーゾ一色でした。バロックを専門的に勉強し始めたのは25歳を過ぎてからです。
【バロックを難しくしている原因】
ピアノを勉強する人たちにとって、ポリフォニー中心の対位法を駆使した『ヨハン・セバスチャン・バッハの曲を弾く』ということには大きな意味があります。
ですが『バッハ』と聞くだけで、難しいと敬遠する人も多いですし、ピアニストにとっても、バッハをリサイタルのプログラムに入れるということは、勇敢な挑戦です。それだけバッハの曲は他の作曲家の作品に比べて「難解」なのです。
しかしその難しさは、ショパンやリスト、ラフマニノフのそれとは全く異なります。
(バッハの作品よりも音符の数が驚くほど多いにもかかわらず。)
バッハを「難解」たらしめている原因の一つは、その音楽話法や作曲技法にあり、バッハをはじめとするバロック時代の楽曲を演奏するためには、それらを読み解く高度な知識が必要です。なぜならその時代の楽譜には、テンポ、強弱、指使い、フレーズなどの細かいことが書かれていないからです。
それを自分の感性で弾いてはいませんか。
そしてもし「何も指示がなければ、禁欲的に、余計なことは何一つしてはいけない」、あるいは「何をしても良い」と考えていたら、そのどちらも間違っています。
この時代の「楽譜を読む」ということは、楽譜に書かれた音を、4分音符なら4分音符、8分音符なら8分音符、というように、音価の通りに弾いても、「正しく弾いた」とは言えません。
バロックからウィーン古典派までの楽譜には、記されていない大切な情報が多くあり、それを知っていなければ、正しい演奏とは言えないのです。
ここに簡単な例を挙げましょう。
テンポ・拍子
現代の私たちは、4/4拍子といえば1小節に4分音符が4つあると考えます。
ですがバロック期からモーツァルト、ベートーヴェンあたりの考え方は違います。
当時は、現在でいう全音符を基準として(Tempo ordinario:基本拍)、全音符を二つ(2拍子)、あるいは三つ(3拍子)に分ける、という考えでした。
全音符(つまり1小節)は楽曲を通じてその長さは変わることはなく、テンポは常に一定を保ちます。そして1楽章が変わっても、この基本拍を感じるように次の楽章も演奏する、ということも念頭に置いておかなければなりません。
時々バッハの平均律を弾いた際、プレリュードの後のフーガを全く別の曲のように新しいテンポを取る演奏に出くわしますが、これは実はバッハの時代にはありえないことです。
こうしたバロックの習慣はモーツァルト、ベートーヴェンの時代も踏襲しています。
アーティキュレーション
バロック音楽を弾く際、一番多い質問のひとつがアーティキュレーションです。
「切って弾くのか?」「レガートをつけるのか?」
アーティキュレーションは古典の指使いを知ることによってある程度解決されます。
この時期のアーティキュレーションは2つの音を基本単位として考えましょう。
そして和声をしっかりと捉えながら分節することが大事です。
また3度以上跳躍する音間も要注意です。
分節することもあれば、しないこともあります。
その見極めが大切です。
案外と知られていませんがインヴェンションの第1番の右手、2拍目最後のドと3拍目のソの間は必ず切音する場所です。
舞曲
バロック時代には舞曲がたくさん出てきます。 最近は指導者を対象に舞曲を踊る体験型セミナーも増えました。では舞曲が踊れるようになったら舞曲が弾けるようになるのか、といえば、それはそう簡単な話ではないようです。
舞曲を演奏するためには、「テンポ・拍子」の取り方・感じ方を知った上で、アルマンド、クーラント、メヌエット、ガヴォットなど各舞曲の音楽的な特徴を出し、「芸術」の域まで引き上げていくことが求められます。
装飾
バッハのほとんどの作品は、バッハの周りにいた子どもたちや弟子たちのために書かれたもので、個々の技量によって、装飾音符が変化されたり、省略されたりしていました。
バッハの作品のなかに、同じフレーズを見つけるも、一方には装飾があるが片方には装飾がない、という箇所があります。
この意図は、学習者が「指示のない装飾が見つけられるか」試されている、あるいは、繰り返し書く手間を省いた、といった理由があります。
また学習者にとって技術的に難しい場合は「装飾を控えても良い」などといった教育的な目的もあります。
バロックを弾くとき、有名な人の録音を聴いたり、先生がそう言ったから、と、人の責任にしたりして真似事で弾いていませんか。
コンクールでいくつもの賞を取った人たちの演奏を聴いていて、同じ曲でもまったく違う演奏で戸惑う・・ということはありませんか。
その理由はどこにあるのでしょう。
これを同じ芸術の絵画に置き換えて考えてみましょう。
ただ「美しい」とキリスト教絵画を見ること(もちろん、それだけでも十分楽しいことです)から一歩掘り下げて、なぜマリアは百合を持つのか? なぜマリアは赤や青のマントを羽織るのか?なぜ受胎告知に百合が描かれるのか?
その理由を知ることによって、私たちは初めてその絵画の本質と向き合うことができるのです。
これは音楽も同じです。
レッスンでは、こうした楽譜に書かれていないことを、ヨーロッパの文献を提示しながら、わかりやすくお教えします。ご自身でを考え、選択する力をつけ、バロック音楽と向き合えるようになれるまでサポートします。
レッスン料
体験レッスン・入会金・設備費 なし
時間 | 料金 |
---|---|
60分 | 13,200円 |
90分 | 19,800円 |
120分 | 26,400円 |
(一度に組曲全曲や、ソナタ全楽章のレッスンをご希望の際は120分をお勧めします)
一日 集中レッスン
通常のレッスンよりも時間を要するテーマについて、集中的に取り組むコースです。
バロックの楽譜の読み方、バロックタッチ、チェンバロやフォルテピアノとの弾き比べなど、
頻繁に通室が難しい遠方の方にもおすすめします。
また、コンクール対策としてPTNAコンペのバロック曲全曲の解釈・指導法にも対応します。
時間は朝10時から夜9時までの間、自由に組めます。
レッスン時間 6時間(途中、1時間半程度の昼食やお茶の休憩があります)
新規の方 | 77,000円 |
在籍生の方 | 55,000円 |
出張レッスンや、出張セミナーについても承ります。
例)
レッスンorセミナー開始
昼食(ご一緒に。昼食中にレッスンのご相談も)
レッスン
休憩 お茶など
レッスン
終了
- コンクールのバロック部門、指導、演奏解説
- 内容 テクニックの改善
- アナリーゼを取り入れた読譜法
- 装飾音の入れ方 バロック音楽に強弱をつける方法
- 通奏低音の勉強
- イタリア古典歌曲の演奏法
- イタリア語に沿った正しいレチタティーヴォ伴奏について
- 本1冊、全ての解読(バロック白楽譜、プレ・インヴェンションなど)