スカルラッティのソナタ
こんにちは
水野直子です。
「スカルラッティを弾くことは楽しい」
と、ピアノを弾く人も
そしてチェンバロを弾く人も
感じている人が多いのではないでしょうか。
この場合に指すスカルラッティとは
アレッサンドロの息子のドメニコです。
ドメニコ(イタリアでは、スカルラッティと呼ぶより、ドメニコと呼ぶ方が多いかな)は、ヨハン・セバスチャン・バッハと
完全に時代がかぶっているにも関わらず、
作風はバッハのそれとは全く異なりますね。
対位法を用いたバッハの楽曲よりも
伴奏プラスメロディスタイルを持つ
ドメニコの鍵盤楽曲は、
現代の私たちには親しみやすい作曲法であると言えるでしょう。
また、ドメニコの作品は、555曲ありますが
そのほとんどが、前半&後半の短い2部形式なので
こうした理由からも、対位法を重視したバロック音楽よりも
聞きやすく、また演奏しやすいのかもしれません。
ただし、スカルラッティの楽譜を選ぶ際は要注意です。
有名で便利なIMSLPで見つけられるのは
間違いだらけ、と言っていいほどの
悪譜だらけです。
リコルディ出版社も最悪。
なぜそんな楽譜が出版されているのかは謎ですが、
想像するに
スカルラッティの楽譜には
驚くほど不協和音を多用しているのですが、
それを清書ミス、として判断したり、
したのではないかな、、と。
でも、↑あくまでの、私の想像ですよ。
他にも理由があるかもしれませんが、
これはそのうちの原因の一つで
間違っていないような気もします。
どの版を選んだらいいか、などは
レッスンでお答えしているます。
あともう一つ、IMSLPは大変便利ではありますが
ここに納められているのものは
・オリジナル
・版権の切れたもの(すなわち、古いもの)
・個人が書きおこしたもの
など玉石混交ですので、そこを見分ける目が必要です。
自分のレッスンや演奏会で使うのは、
ヴェネツィアの国立マルチャーナ図書館所蔵のもので
通称ヴェネツィア版。
スカルラッティの主原稿は、もう一つあって、
それはパルマ版です。
どちらも、誰が書いたかはわからないのですが
ヴェネツィア版は、写真の通り、こんな感じですが
パルマ版は、もっと音符の間隔が狭くて
筆致が全く違います。
私の恩師 故ラウラ・アルヴィーに先生が
ヴェネツィア版の出版に追力されて
その時の苦労話や興味深い話を、色々と聞いているので
いつかどこかでお話しできたらいいなと思います。
それから、別に自慢するわけではないけれど
私はこのベネツィア版をイタリアで全巻、
執念で揃えました。
それを船便で持って帰るのはなかなかに大変でしたが、
あの時、無理をしてでも、こうして買って帰ってきて
よかったなぁ、と心から思っています。
私の宝物です。