2026年 バロック倶楽部のご案内

2025年2月から始まったバロック倶楽部も、おかげさまで今期で第4回目のタームを迎えることとなりました。

第1回目 2025年2月から4月
第2回目 2025年5月から7月
第3回目 2025年10月から2026年1月 

毎回40名以上の熱心なピアノ指導者の皆様にご参加いただき、私自身も毎回身の引き締まる思いで、全力投球でお話しさせていただきました。

今期のプログラムが確定したので、新規メンバーの先生を募集いたします。

■ 第1回:6月22日(月)11:00 – 最大13:00

『プレインヴェンション』の回

まずは『プレインヴェンション』より、以下の楽曲を取り扱います。

p. 68 50番 Finale / N. J. Hullmandel
p. 75 52番 Impertinence / G. F. Händel
p. 76 53番 Bourrée / G. F. Händel
p. 77 54番 Prelude / G. F. Händel
p. 78 55番 Sarabande / G. F. Händel

(※51番 Theme – Variations ならびに 56番 Theme – Variations は、古典作品としての色彩が濃いため、今期のプログラムからは見送りとさせていただきます)

※講義後のご質問は、バロック倶楽部専用コミュニティdiscord内の「公開質問ボックス」にお寄せください。
 第2回の講義内にて回答いたします。

■ 第2回:7月29日(火)11:00 – 最大13:00

『バロック白楽譜 1巻』より

第1回にお寄せいただいたご質問に回答したのち、『バロック白楽譜 1巻』の楽曲解説へと移ります。
以下の楽曲について、これまで通り背景から深く掘り下げて解説いたします。

p. 17 13番 Catch Me / C. Gurlitt
p. 25 18番 Aria / J. C. Bach
p. 28 20番 Menuet / BWV Anh.132
p. 29 21番 Menuet / F. J. Haydn
p. 45 31番 Trio BWV822 / J. S. Bach
p. 46 32番 Menuet I BWV822 / J. S. Bach
p. 48 33番 Menuet II BWV822 / J. S. Bach

第2回の講義後に出てきた質問は、discord内の「公開質問ボックス」に書き込みください。
第3回(最終日)にてお答えします。

【※今期お取り扱いしない曲目について】
以下の楽曲は、他講座との兼ね合いや既出などの理由により、本倶楽部での解説は行いません。あらかじめお手元の楽譜にご確認をお願いいたします。

  • 14番 ならびに 19番(Menuet / Kriger) 別途開催の「装飾音実践講座」にて詳しく取り扱います
  • 過去のバロック倶楽部にて取り扱い済みの楽曲
    12番(Arietta / D. G. Türk)/ 15番・16番・17番(A. Rowley / Miniature Fuga)/ 22番(March / J. Clarke)/ 23番(Bourrée)/ 24番(Menuet K. 6 / W. A. Mozart)/ 25番(Menuet K. 2 / W. A. Mozart)/ 26番(Allegro K. 3 / W. A. Mozart)/ 27番(Scherzino / G. P. Telemann)/ 28番(Gavotte / G. P. Telemann)/ 29番(Scherzando / A. Scarlatti)/ 30番(Menuet / G. Böhm)

■ 第3回(最終日):9月18日(金)11:00 – 最大13:00

特別プログラム「組曲としての舞曲」

【取り扱い曲目】フランス組曲 第4番 / J. S. Bach

今期の締めくくりとなる最終日には、かねてよりご要望の多かったJ.S.バッハの《フランス組曲 第4番》を取り上げます。
これまでに学んできた様々な「舞曲」のスタイルや特徴を総括する、特別なおさらいの機会となれば幸いです。

  • アルマンド
  • クーラント
  • サラバンド
  • ガヴォット
  • エール
  • メヌエット
  • ジーグ

それぞれの舞曲の特徴を復習をしながら、「実際の演奏で、その特質をどのように表現するか」という具体的なアプローチについて考察します。


※スケジュールの管理には万全を期しておりますが、不測の事態等によりどうしても指定の日程で倶楽部を開催できない場合は、こちらで日程を調整・変更させていただくことがございます。皆さまにはご不便をおかけする可能性がございますが、何卒ご容赦いただけますと幸いです。

アーカイブ期限

全回 2026年12月31日までご覧いただけます

🟦倶楽部参加費

  • 新規メンバー参加費:25,000円(税込)
  • お支払い方法:クレジットカードのみ(お申し込み後、決済リンクをメールにてご案内いたします)

【領収書の発行について】 経費等の証明(証憑)としては、カード決済会社より発行される「利用明細」が正式な書類としてご利用いただけます。環境への配慮および円滑な運営のため、個別での発行は原則として差し控えさせていただいておりますが、ご所属の組織等の規定により必要な場合は柔軟に対応いたしますので事務局までお知らせください。

専用コミュニティ(Discord)について

講座のご案内・質問・動画提出・資料共有などは Discord を使用します。
https://discord.com/ ←discordとは) 

  • 招待URLをクリックするだけでご参加いただけます。操作に不安がある場合は、事務局より個別にサポートいたします(操作の難易度はInstagramやFacebookと同程度です)。
  • 登録に不安がある方は、先にご自身のアカウントを作成した上でお申し込みください。
  • 登録名は「お申し込み時のお名前(ご本名)」でお願いいたします(後から変更も可能です)。

質問を「公開」にする理由

バロック倶楽部でのご質問は、水野への直接メッセージではなく、全員が閲覧できる「質問ボックス(公開スレッド)」にお寄せいただく形をとっています。

  1. 「学びの共有」:ほかの先生の質問を見ることで、「その視点はなかった!」という、自分一人では気づけなかった新しい発見が生まれます。
  2. 「一人じゃない」という安心感:「こんなことを聞いてもいいのかな……」と悩んでいるのは、決してあなた一人ではありません。誰かの質問を見たときに「私だけじゃなかったんだ」と安堵し、一歩踏み出す勇気をもらえるものです。ぜひGiverの精神でご参加ください。

質問をオープンにすることで、私もどんどん答えやすくなります。
水野が本音で話すのは、ここだけです。ぜひ、この場を皆様の学びにフル活用してください。

個人的に質問をされたい場合は、個人レッスンとしてこちらのフォームよりお問い合わせください。

倶楽部内での情報取り扱い・遵守事項

倶楽部内では、貴重な情報や史料が共有されます。
これらの情報は、ご自身のスキル向上や、ご自身・レッスン生への指導目的以外での使用はご遠慮ください。
また、著作権保護のため、資料の無断複製や配布、SNSへのアップロードは固く禁じます。
お互いに気持ちの良いコミュニケーションと、責任ある情報管理を心がけましょう。

バロック倶楽部では、講座資料・アーカイブ・Discord内でのやりとりなど、受講生限定の内容を多く扱っております。
情報漏洩や資料の二次使用を防ぎ、安心して学べる環境を保つため、いったん退会された方の再入会は承っておりません。

お願い(お申し込み前に必ずご確認ください)

バロック倶楽部は、特定の「指導法(ハウツー)」をお伝えする講座ではございません。
楽譜の校訂という作業を通して、狭義には「楽譜の正しい読み方」を、広義には「芸術とは何か」を共に探求していくことを目的としております。 当講座の趣旨をご理解いただき、ご参加いただけますと幸いです。

つきましては、下記のような指導法に関する具体的なご質問はご遠慮くださいますようお願い申し上げます。

【ご遠慮いただきたい質問の例】

  • 「指が回らない生徒へのトリルの指導法」
  • 「バロックが苦手な生徒への声かけ」など

これは、実際にお子さまの演奏を拝聴していない状況で、無責任な回答をすることはできないという、私の指導理念によるものです。

なお、上記のような個別の指導法に関するご相談につきましては、「個人レッスン」にて承ります。生徒様の状況のヒアリングや、演奏動画などを丁寧に拝見した上で、その生徒様のためだけの具体的なアプローチをお答えいたします。

そのほかの取り組み

バロック倶楽部では、講座のほかにも、先生方同士でゆるやかにつながりながら取り組める活動をご用意しています。

  • もくもく会
     zoomでつながりながら、それぞれが自由に作業を進める時間です。
     教室の片付け、SNSの更新、月便りの作成、ご自身の練習、事務作業など、内容は何でもかまいません。
     一人ではなかなか進まないことも、「みんなも今がんばっている」と感じられることで集中できた、というお声を多くいただいています。
  • SNSチャレンジ企画
     期間を決めて、SNSを更新していきます
     日々の発信は、一人だとつい後回しになりがちですが、仲間がいることで続けやすくなる、と好評いただいています。
  • 上半期の帳簿をつけよう
     確定申告に向けて、早めに帳簿や領収書を整理するための時間です。
     溜まってしまった領収書や経費の記録を、この機会に一緒に整えていきましょう。
     9/28(月)10:00から行う予定です。

そのほか、ご参加の先生方のニーズに合わせて、企画していきます。

お申し込み

こちらのフォームよりお申し込みください

https://ws.formzu.net/fgen/S995188481
締切:6/20

水野の思い

バロック倶楽部を始めた理由

バロック倶楽部を始めた動機は、ひとつではありません。

私自身がチェンバロを学ぶなかで味わった、「楽譜の読み方」に対する生々しいほどの衝撃。

そして、そのような視点が日本のピアノ教育の現場に十分には浸透していないことへの危機感。

さらに、市販の校訂楽譜に加えられた曖昧なアーティキュレーションや、根拠の見えにくい解釈への違和感。

挙げれば枚挙にいとまがありません。

ピアノ講師のコミュニティには、多くの「指導法講座」が存在します。

コンクールシーズンともなれば、あちこちの講座へ足を運び、熱心に情報を集める先生方の姿をよく見かけます。

私自身も、かつてはその講師として登壇することがありました。

生徒さんのために、時間も労力も惜しまず学び続ける先生方の熱意には、ただただ頭が下がる思いです。

しかし、ことバロック音楽の分野になると、そうした熱心な先生方から、

「疑問が解決しなかった」
「モヤモヤが残る」
「講座によって言うことが違い、かえって混乱してしまう」

といったお声が、私のもとへ絶えず寄せられます。

一方で、実際に私の講座を受講された先生方からは、

「長年の疑問がようやく解けた」
「バロック音楽の見え方が変わった」
「もっと早く先生に出会いたかった」

というお声を、何度もいただいてきました。

それは、私の講座が単なる弾き方の提案ではなく、楽譜を読み解くための土台、つまりバロック音楽の「共通言語」からお伝えしているからだと思います。

では、なぜ、これほど勉強熱心な先生方が、バロック音楽になると迷路に入り込んでしまうのでしょうか。

その大きな理由は、バロック音楽を読み解くための「共通言語」、つまり歴史的なルールに基づいたアプローチが、日本のピアノ教育の現場で十分に共有されてこなかったからだと、私は考えています。

バロック音楽は、古典派やロマン派以降の作品に比べると音符の数が少なく、一見するとシンプルに見えます。

そのため、ロマン派的な感性や、古典派以降の語法で弾いても、一応は「形」になってしまいます。

しかし、それは当時の演奏習慣とはまったく異なるアプローチである場合も少なくありません。

にもかかわらず、音符が少ないために、あたかも「どのように弾いてもよい」かのような錯覚に陥りやすいのです。

なかには、

「ピアノで弾くのだから、ピアノのアプローチでよいのではないか」

というお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、現代のピアノで演奏する以上、ピアノという楽器の特性を活かした表現があってよいと、私も考えています。

けれども、そこで大切なのは、

「ピアノで弾くこと」と、
「バロック音楽の語法を知らずに、後世の感覚だけで弾くこと」は、

同じではないということです。

バロック倶楽部は、バロック音楽を現代の感覚だけで自由に扱う場ではありません。

楽譜の背後にある歴史的な演奏習慣、音型の意味、舞曲の性格、アーティキュレーションの考え方を学びながら、作品を読み解いていく場です。

現代のピアノの構造がほぼ完成したのは、ここ150年ほどのことです。

また、作曲家が強弱やアーティキュレーションを楽譜に明確に書き込むようになったのも、長い音楽史のなかで見れば、比較的新しい時代のことです。

ここで、少し視点を変えてみてください。

なぜ、それ以降の時代の作曲家たちは、楽譜に細かな指示を書き込まなければならなくなったのでしょうか。

それは、それまで演奏家の間で共有されていた演奏スタイル、つまり「共通言語」が、時代とともに薄れていったからです。

バロック時代までは、

「この音型なら、修辞学的にこの意味を持つ」
「この舞曲なら、この性格をもつ」「時代によって表現方法が変わる。」
「この装飾音には、このような意味がある」「世界一美しいと言われる装飾はどれ?」

という知識が、作曲家、演奏家、弟子たちの間で直接共有されていました。

だからこそ、楽譜にすべてを書き込む必要がなかったのです。

しかし時代が進み、その共通言語が通じにくくなっていきました。

音楽を楽しむ層が広がり、作曲家の意図が演奏者に正確に伝わらなくなる危機感も生まれました。

その結果、作曲家たちは、自分の意図をより具体的に楽譜へ書き残すようになっていったのです。

私たちは、左手で伴奏、右手でメロディを奏でる音楽文化のなかで育ってきました。

その感覚だけで、多声部で構築されたバロック音楽を読み解こうとすることには、そもそも大きな無理があります。

バロック音楽を弾いても、どこかロマン派のようになってしまう。

そう感じる理由は、ここにあります。

だからこそ、感覚や思い込みだけに頼るのではなく、楽譜の背後にある、当時はあえて書かれなかった暗黙のルールを知る必要があるのです。

そしてそのルールを知ったとき、初めてバロック音楽の素顔が見えてきます。

バロック倶楽部は、単に目先のテクニックや知識を詰め込む場所ではありません。
受講される先生方が、自ら楽譜を読み解き、確信を持って生徒さんに伝えられるようになるための、知性を育てる場でありたいと考えています。

バロックが苦手な方にこそ、ぜひ聞いていただきたい。

楽譜の見方が変われば、音の出し方が変わります。
音の出し方が変われば、生徒さんへの伝え方も変わります。

そして、このような形で私が自主的にセミナーを開催し、継続的にお伝えしていく活動は、あと2年ほどで一区切りにする予定です。

だからこそ、今、本気でバロック音楽の読み方を学び直したい先生方に、この機会を大切にしていただきたいと考えています。

感覚や雰囲気ではなく、根拠を持ってバロック音楽を読み解きたい先生方へ。

志を同じくする皆さまと、バロック倶楽部でご一緒できますことを、心より楽しみにしております。