日本バッハコンクールで審査をさせていただきました

チェンバロ・ピアノ奏者 水野直子です
練馬区氷川台・桜台・平和台 教室ブログへようこそ



2月8日(土)、日本バッハコンクール小学1、2年生Aの審査をさせていただきました。

全国大会へ進まれた皆さん、おめでとうございます!
皆さんのここまでの道のりを考えると、涙が出ます。

この日は200名超の演奏を聴かせていただきました。お一人ずつ寸評を書かせていただいております。

短い時間ではありましたが、精一杯、時間ギリギリまでかけました。汚い字なので、読みづらいかと思いますが、お役に立てますと嬉しいです。

 

さて、バロック音楽は。。私がこの上なく愛する世界です。

自分自身を振り返ってみますと、当初、バロック音楽にコンプレックスを感じて入った世界でしたが(もう20年以上前だな・・)、
こうしてピアノだけでなく、時代や国の異なる楽器に触れるようになってからは、
ピアノという現代の黒い楽器の可能性、有用性を感じるとともに、
古楽器との違いを目の当たりにし、戸惑いつつも、ピアノとチェンバロを使って音楽活動をするようになっていました。

音からの気づきは、楽器や楽譜が助けとなりますが、
音からだけでは得られないものは、多分野からの力を借りたり、また「本」を読まなければなりません。

これは、イタリア留学時代の自分の話ですが、
例えば、レッスンで「先生がこう言ったから」という演奏は、全く通用しません。

「先生がこういうのは、これこれの理由があるからだ」ということを自ら搾取しなければ、本当の意味で理解したことにはならないし、薄っぺらい演奏のままです。

楽器だけ弾いていても、いくら指が動いていても、演奏に説得力が生まれないんですね。

 

それを踏まえて、書いてみます。

今回の課題曲は、短く可愛らしい曲が多かったですね。

短い曲には、短い曲の良さがあって、そして当然、短く作曲された理由があります。
その中に必ず起承転結があります。
それはバロックの場合、音型を見れば一目瞭然です。

音楽は先へと進むものですから、演奏者もその音楽を進ませようとする意思が必要です。

また短い曲には、過度なリタルダンドはあまりふさわしくありません。それは音楽の流れが止まってしまうからです。長くずるずる引っ張るよりも、終わった音の余韻を楽しむと良いと思います。

時々、終わりの音を、楽譜に書かれている音価以上に伸ばす演奏を聞きますが、それはあまり感心しません。

また、弱音にも響きを失わせてはならないですね。左右のコントロールに加え、ピアノのコントロールも大切ですね。
そのための耳も育てていけるといいですね。

人が育つためには、たくさんの「経験」が必要ですが
この経験を、今からたくさん持てる皆さんを羨ましく思います。

さて今回、当教室でレッスンを受けられた方は、指導者のレッスン指導を含めまして、そのご門下生も全員、賞を獲得されたそうです。

昨日から嬉しいニュースとともに、トロフィーを持った写真付きのメッセージが送られてきています。

みなさん、やりましたね!

奨励賞で、悔しくて泣いた方もいらっしゃったようですが、審査員長の渡部由記子先生がおっしゃったように、審査は僅差です。もしかしたら演奏の順番が違ったり、時間をおいて審査したら、点数が変わるかもしれません。

そんな中で戦った自分を、まずはたくさんたくさん褒めてください。
悔しい思いは、次回、爆発させればいいんです。

同じように、このコンクールを目指して努力されてこられて、今回は残念ながら全国大会出場まで至らなかった方々にも、大きな大きな拍手を送りたいと思います。

小さなうちから、こうして一人で舞台へ上がる勇気を持てるあなたたちの未来には、きっとたくさんの幸せが降り注ぎますよ。

 

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