ピアノが上手くなりたければ本を読もう
三が日が終わり、今日から仕事始めの方も多いのではないでしょうか。
日本の年末年始は、西洋と日本の文化を上手い具合に組み合わせながら独特の文化を作っているなぁ、という気がします。
子供の頃は、楽しいイヴェントが続くことを、
ただ嬉しく思うだけでしたが、
大学生になると、
クリスマスケーキと女性の結婚年齢を
冗談半分、いや半ば本気で、揶揄うようなゲスコメント
(あら、言葉が悪くてごめんなさい)
を浴びせられるようになり、
なんとも嫌な気分に襲われたものです。
これは日本のミソジニーが根底にあると思いますが、それはまた次回に。
それで、すっかりと
クリスマスを全く好きになれない青春期を過ごした私は、
「人が遊んでいる時にこそ、先にいけ」精神で、
練習やら勉強をガリガリとしていたわけです。
そうして単身イタリアへ行って、
その時にやっと日本がおかしなことになっていることがわかったのですが、
現地で敬虔なクリスチャンと交わったことで、
日本における世間は世間として、
自分は自分の楽しみ方を見つければいいな、
と思うようになってきました。
今年も「クリスマスには必ず生クリームたっぷりのクリスマスケーキを食べる!」
と楽しそうにワクワクしている46歳の夫を見れば、
それはそれで可愛らしいなと思うし、
私も夫が買ってきた、
自分ではまず買えなさそうな、高くて
美味しいケーキが食べられるので
一緒に楽しく、「美味しいね」とテーブルを囲むのも良いものだなと、思ったり。
21世紀になり、ネットの開通で24時間、
好きな時に好きな人と会話ができるグローバルな時代になったのですから、
ここは文字通りそれこそ「地球規模的」イベントも、
それぞれの視点で、楽しいことや幸せな気持ちを
享受していきたいなと思うようになりました。
その一方で西洋文化の一つである「ピアノ」を専門にしている以上、
その対象が
- 幼児教育であれ
- 「コンクール」を目指す子を教えるにしても
さらに
- 演奏をする人であるにせよ
西洋の文化そのものへ
そのまなざしを深く向けなければ、
実は薄い氷の上を歩いている状態なのではないか、と思うのです。
小手先の指導法では本質的なことは伝えられないのは当たり前ですし、
そういう演奏は、聞く人が聞けばバレますからね。
さて
年末年始を病気で迎えるという大失態をやらかしたことで、
まだ本をゆっくり読めるほどの体力は戻っていませんが、
ベッドの上でゴホゴホやりながら
「今の私に必要なのはこれだ」とポチった本がこちら。
この本で紹介されている写本は、
15世紀イタリアで作られた医学の美しい写本ではありますが、
18世紀のクヴァンツの『フルート奏法』のなかの
テンポの取り方で説明されている
「人間の気質」について
などという、現代人には「?」なことを理解するためにも、
この本には大きなヒントになる情報が満載でした。
私は16世紀から19世紀前半の、
歴史区分でいうところの「西洋近世」の鍵盤楽器作品を
好んで演奏&研究していますが、
近世の土台となっている部分は
その前の中世にも目を向ける必要がある、と
「音楽」とは全く関係ないと思われるような
「医学」の分野からも再認識したところです。
今年はもっと本を読む時間を是非とも取らねば!
と心に誓った水野です。