大人のピアノ再開組さんへ おすすめのテクニック本 3冊はこれで決まり!

イタリアで、もうすぐ帰国するから最新の教材を探してみて驚いたのは、その数の多さでした。

昭和の『バイエル』→『ブルクミュラー25の練習曲』→『チェルニー30番』→『インヴェンション』という、まさしく体系的なカリキュラムを受けてきた自分にとって、特に幼児の発達に合わせて使用できる『ぴあのドリーム』や『バスティン』『ピアノアドヴェンチャー』といった教材の登場には、興味津々!

未来の生徒さんのために片っ端から集めて、その投資は惜しみませんでした。

バイエルと並んでロングセラーの『オルガンピアノ』も、数年前に刷新されましたし、ピアノ学習者への教材は、これからもどんどんと創意工夫されながら、変わっていくのだろうなと思います。

しかし、ピアノ教育の根底部分である

  • 音符が読めること
  • リズムがわかること
  • テクニックをつけること

は変わることはありませんね。

つまり、この三つを鍛えるためのノウハウを、「いかに飽きさせず」に、「より効率良く(=時短)」習得できるか、を追求したものを、手を変え品を変え出していく、というだけのものだということです。

では、大人のピアノはどれを選べばいいの?

水野の教室には、大人になって初めてピアノを弾く人はいないし、お問合せもないので、本日は大人のピアノ再開組さんへ向けたテクニックの本を3冊ご紹介します。

バーナム 『全調の練習』

もう一度ピアノ弾きたいと言う思いのある大人の方は、大抵の場合、小学3、4年までピアノをやっていたり、あるいはチェルニー30番あたりまでピアノを続けていた方が多い気がします。

だいたい発表会では《エリーゼのために》やショパンの《子犬のワルツ》を弾いているレベルですね。

しかしブランクがありますので、昔のように指は動きません。ですからテクニックの本を使って、指をピアノになじませる、テクニックに特化した教材を使うことが必要となります。

さらに昭和のバイエルからブルクミュラーへ流れるレッスンを受けた方は、残念ながらフラットやシャープが3つ4つ・・・と出てくる曲になると、譜読みに時間がかかってしまいます。
ですが安心してください。
フラットやシャープなどは単なる「慣れ」の問題なので、繰り返し練習していれば必ず習得できます。

その際に大切なのは、短い曲を選ぶということです。
そこで水野がご紹介したいのはバーナムピアノテクニック『全長の練習』です。

1ページに1曲、8小節、と言う小さな曲の中に

  • スタッカート
  • レガート
  • 強弱
  • 手首の使い方
  • ペダリング
  • 16分音符から全音符までの音価によりタッチの違い などを

バランスよく勉強できます。しかもすべての調を使いながら、曲のイメージにあったタイトルもついているという、優れもの。

バイエル世代の私たちはハ長調やヘ長調、ニ長調などの白鍵には慣れていますが、黒鍵には慣れていません。
しかし有名な曲のそのほとんどには、シャープやフラットがたくさん付いています。
シャープやフラットがついていることで、曲はより魅力的になって、誰もが聞いていて、「弾きたいな」とか「美しいなぁ」と感じるような曲に仕上がるのです。
ですから全長把握は必須です。

バスティン  『スケールカデンツ&アルペジオ 』

仕事をしている大人にとって、ピアノの練習時間を確保する事はなかなかに困難です。
ましてやさらに家事と育児をしている働くママにとってはなおさらのこと。

それならば好きな曲だけを練習していれば良いのではないか?
と思われるかもしれませんが、いえいえそうでは無いのです。

ピアノと言うのは、日常生活では使わない筋肉を使っているので、いきなり曲を弾いてしまうと、手を痛めることにもなりかねません。
好きな曲を弾きたいと言う思いが強いために、体の悲鳴を無視して、手や肩を壊してしまった人たちをたくさん見てきました。

最近はYouTubeでピアノのテクニックの解説や曲目解説をしている映像もたくさんあります。有益な情報もありますが、玉石混交です。
さらに説明を聞いてわかった気になったとしても、知ることとできる事は全く違のです。そしてどんなに動画を見たとしても、「テクニック」に関しては解決できない問題の方が多いです。
イメージとしては、その人に100の問題があるとしたら、それらの問題が解決できるのは、動画を見ている人の技量にもよりますが、せいぜい5個位かと思います。

それほどピアノと言うのは自己流では上手にならないのです。

しかし時間がない、というのも現代人の特徴です。

そんな方にお勧めするのがこちら。

曲中にはスケール(音階)とアルペジオがた〜〜っくさん出てきます。
そのたびにいつも引っかかっていたら、いつまでたっても仕上がりません(悲)
同じところをいつも間違えるのは、テクニック不足だからです。

この本は、1オクターブの中で4分音符を使いながらしっかりとスケールを勉強していき、その後8分音符を使って音域を2オクターヴに広げていきます。2オクターヴを勉強する段階のスケールに慣れたあたりでアルペジオ組み合わせていく、というふうに、初心者にも勉強しやすいようカリキュラムが寝られているのが特徴です。
ハノンの長いスケールを見てぎょっとしている方には、この教材は特に良いと思います。


チェルニー  『やさしい20の練習曲 「30番練習曲集」の前に』

「チェルニー」と聞くだけでしかめ面になるそこのあなた・・・汗

水野も子どもの頃はチェルニーに嫌悪感を感じていましたが、今はチェルニーには「こんなに素敵な曲をたくさん書いてくれてありがとう!」と、感謝の気持ちしかありません。

練習曲と言うタイトルの通りに、19世紀のこの時代と言うのは、「ピアノのテクニックを底上げするとともに、音楽性を育てていこう」という動きが盛んな時期でした。言い換えると高い芸術的水準を保ったままテクニックを鍛える、そうした曲が数多く作られてきた時代でありました。

ショパンの「革命のエチュード」や「別れの曲」も、実は「練習曲」という括りに収められている曲集のうちの一つです。

チェルニーはベートーベンからピアノを習っており、チェルニーはその後リストの師となります。
ショパンの革命のエチュードや別れの曲は、リストに限定された楽曲です。

19世紀のピアノ業界と言うのはこれほどのつながりがあったんですよね。

だから私は、ショパンが弾きたいならば、チェルニーをやってみることをおすすめします。
音楽史の流れがわかると、時代の流行りもわかってくるので、曲のつかみどころがわかってきますよ👍

まずはその手初めにこの曲はいかがでしょうか。

「30番練習曲集」の前に、と添えられている通り、30番のように1曲が長くありませんし(1ページ1曲)、テクニック的にも難易度が抑えられています。
教室の子どもの生徒さんにも、バイエルが終わった頃にこの教材を使う場合があります。
まずはチェルニーの嫌悪感から逃れる事、そして楽しみながら、かつ、練習曲と感じさせないやり方でテクニックを向上させる・・・そんなイメージでこの本を手にとると良いと思います。

以上、本日は大人のピアノ再開組の方に方に向けたテクニックの本を3つご紹介いたしました。

大人のピアノライフは子供のそれとは全く異なります。
ご自分がピアノとどう向き合いたいかを考えながら、大切な自分の時間をピアノとともに楽しまれてください。

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