今月はバロック三昧
チェンバロ・ピアノ奏者の水野直子です。
本日もブログへお越しくださりありがとうございます。
今月は3日のチェンバロ特別レッスンから波が押し寄せるように
バロックのレッスンを多くしています。
特に指導者の方々が遠方より
日中、夜、休日にお越しでした。
それも「ご自分の生徒さんたちへの指導のために」が多かったですね。
バロックの作品は、
もともとダンスの伴奏だったものを
芸術の域に高めた楽曲=舞曲が多いですね。
子供達がバロック曲を最初に勉強するのは
ペツォルトの可愛らしい《メヌエット》などから
入ることが多いのですが、
こうした曲は楽譜の音価どおりに弾いても
《メヌエット》の雰囲気は全く出ません。
バロック音楽を『ザ・バロック』とするためには
拍感が必要です。
バロック時代の楽器・・・
強弱がピアノのように明確につけられないチェンバロで
拍感を出すには、
音の長短でメリハリをつけます。
楽譜に書かれた音符は
拍やフレーズによって
演奏される長さが変わります。
特に弱拍に位置する音符が鳴っている長さは短めです。
(テンポはそのままに)
だからバロックは軽やかに、
そして優雅に聞こえるのです。
今週のレッスンで
この技術をピアノに応用するようお伝えすると
レッスンを受けられたピアノの先生のメヌエットは
とってもエレガントに仕上がりましたよ。
私のセミナーやレッスンを受講される皆さんに、
一つ心にとめていただきたいことがあります。
今、皆さんはバロックについて、
長年疑問に思っていることを解決したい、
と、必死な思いで当教室へいらっしゃっていると思います。
私も自分の知っていることすべてを
余すことなくお伝えして、
毎回のレッスンに全力投球していますが、
バッハを勉強し始めたその日から
何年も、何十年も疑問に思ってきたことが、
私のレッスンを一度受けただけで
すぐに、100%解決することは難しいです。
たった1時間や2時間では
バロックの250年以上の長きに渡るスタイルを
すべてお伝えすることはできないのです。
また私がお伝えしたことが頭でわかったとしても
悲しいことに、すぐに弾けるようには・・・なかなかなりません。
悔しいですね。
気持ち、すごくわかります。
だから
拍感を出すだけでも、
何度も何度も、家で繰り返して練習をする必要があります。
バロックにはバロック演奏に適した技術があります。
そうした技術の習得には練習を繰り返して、
体で分かってくるものです。
大人になってから新しい技術を入れ込むのは大変です。
ですから、私は初めの数ヶ月のレッスンでは
簡単な曲をお勧めしています。
楽譜の読み方から一緒に勉強しましょう。
どこにアクセント(拍)があるのか、
隠れている(本当は隠れていませんが)ヘミオラや
バッハが省略している装飾音を探し、
優雅で趣味の良いアーティキュレーションをつけ、
そして最終的には自分でこうした作業ができるように
バロック音楽の自立を目指してコツコツ、いきましょう。
はじめはゴールの見えない孤独な道にいるように感じるかもしれませんが、
私が伴走しています。
あなたが走り続ける間は、私はいつも一緒です。
そして必ず「あ、そうか」「こっちの方向だ」と自分で選べるようになりますから。