全ては「質」
チェンバロ・ピアノ奏者 水野直子です。
「ピアノが上手い」ってどういうことだと思いますか?
教材が進んでいれば、進んでいるだけ上手いということでしょうか。
有名な曲を弾いている人なら誰でも上手いのでしょうか。
こうしたことが基準で
「ピアノが上手い」「下手」
もしくは
「曲が簡単」「難しい」
などと決めていたら、それは間違いです。
レッスンをしていると小さな生徒さんから
「(自分が弾いている)この楽譜は○年生が弾くものなのなのに、他の子は違う本を使ってるのは、どうして」
という質問を受けます。
私はこの質問に
「世界中にはいろんな楽譜があって、先生はその中から、あなたに一番合っているものは何かな、って探しながら選んでいるのよ。あなたと他の人も、毎日同じものを食べているわけじゃないでしょう。お母さんもお父さんも違う。だから、手の形も足の形も、背の高さも、体重も違うよね。
学校では、たくさんの人が同じクラスで勉強するから使う教科書は同じだけど、テストをしたら、みんなの点数がバラバラでしょう?
でもピアノ教室は1対1だから、あなたが勉強すれば、一番上手に弾ける楽譜を先生が特別に選んで、あなたをもっともっと上手にしていくのよ。でももし、他に弾きたいものがあれば教えてね」
と答えます。
それからご家族から言われた一言で、ピアノの勉強心が折られることがあります。
先日も「この曲は簡単だから、もっと他の曲をやって、と言われた」と悲しそうに話してきた子供さんがいます。
そう言われた曲は、確かに
発表会で背伸びをした小さな子が弾くこともあります。
でも本当にうまく弾こうとすると、その曲はピアノ指導者にとっても、難しい曲です。
(そもそも「簡単な曲」というものはこの世に存在しません。簡単という言葉自体、傲慢だと思っています)
ピアノは計算すればそのまま答えが出るものではありません。
その時期の成長によって、演奏の質が全くが変わります。
何歳で何を弾いたかではなく、いかに弾いたのかが問題です。
その曲をただ弾いたというだけの演奏と、素晴らしく弾いたのでは全く違います。
そしてこれが
ただのお稽古ではなく「芸術」を勉強するということだと私は思います。
今日の動画は中学生の生徒さん。
この曲をテンポどおりに、高い芸術性とともに演奏することは、なかなか難しいことなのです。
私は、今の彼にとって、この曲を勉強するには一番いい時期だと思ってお渡ししました。
かっこいいでしょう?
スポーツ万能、イケメンな男の子がさらっと弾いちゃったら
周りの女の子のハートは撃ち抜かれます、うふふ。
講師演奏会
7/26『花咲く庭園 II』
高橋薫子・立花敏弘・水野直子