コンクール審査を振り返って
今年度のすべてのコンクールの審査が終わりました。
でもすぐに来年のコンペの課題曲が発表になったので、ピアノ講師さんからのレッスン依頼がどどんときています。
今年は30代の若い講師さんからのお問い合わせがあって嬉しいです。
指導の前に自分も納得のいく演奏ができるようになりたい、というお話もあるので、なおさら嬉しい!
指導のセミナーってたくさんあるけれど、切り貼りしてつなげても、フランケンシュタイン伯爵の創造物になりかねないからね・・・
脱・指の運動会
今年も様々な演奏を聞かせていただきました。
まず申し上げたいのは「呼吸」が疎かになっていませんか?ということです。
ここで言う「呼吸」は音楽的な呼吸のことね。
ピアノは体の機能として、息をしながらでも、指さえ動けば弾けてしまうので、いくらでも休みなく音が出せます。
でも音楽にも、文章や朗読と同じように、音楽的な句読点があります。
それがフレーズであったり、拍感だったり、和声だったりするわけだけど、それを全部つなげてテンポ通りに弾いてしまうと、こちらは息が詰まります。
全国大会や本選などに行くコンテスタントさん達は、技術的にはすでに、と〜〜っても指が回るので、高速演奏にならないように、注意すると良いと思います。
特にバッハはカンタービレ奏法を勉強させたかったわけだから、指の周りが速いことを焦点に当ててないんだよね。
テンポを速く、ミスタッチなく弾く、という思考から抜け出せるといいなと思います。
テンポが速すぎる
緊張するとテンポアップしてしまう、ということは私にも経験があります。
しかし7番や9番、11番など、ザ・クラヴィコードの世界観を持っている曲の場合は、とりわけカンタービレで演奏する必要があります。
また長いトリルを演奏するときは、ゆっくりめにはじめてだんだんと速くまく、という演奏が、その当時は趣味の良い演奏であるとされていた時代です。
指を速く回らせることができるよ、見て見て、私すごいでしょう、の世界観ではないのです。
フルコンとホールの残響に慣れておく
ご自宅にフルコンサートグランドピアノ(フルコン)がある方って、どれほどでしょうか?
ちなみにフルコンの長さは270センチ以上です。
長さが長い音は低音域になります。
軽く音を出すだけで、音が鳴り響くので、特にポリフォニーの美しいバロックでは、ぐわ〜〜〜ん、と低音から音が突き上げられて、地鳴りのように鳴り響いて、作品が破壊されてしまいます。
またホールの残響も手伝って、カオス。
だからバッハなどのバロックを演奏する際は、音が混ざらないように、音を立てて弾く、低音が高音を消さないように、耳と指の両方を使ってコントロールをする必要があるのです。
でもこれはホールで練習や先生にレッスンしていただくことで、コントロール力がついてきます。
本番前は是非大きなホールでレッスンしていただきましょう。
その際は先生への出張費と特別レッスンの謝礼も忘れずにね。