メトロノームを使っていますか?

ピアノを習っている人には馴染みのある・・と思いたいメトロノーム。

思いたい、というのは
メトロノームが嫌い、苦手、という方が一定数いるから。
しかし苦手な人はあなただけではありません。
今ではメトロノームと大親友(だと思っている)私も
メトロノームが大嫌いでしたよ・・・

子供の頃にカバレフスキーのイ短調のエチュードを
メトロノームで練習させられるのが
本当に苦痛でした・・・トホホ

メトロノームの歴史

メトロノームはギリシャ語のmetron「測定」とnomosを「法則」に由来する語です。
1816年までに、ヨハン・メーポムク・メルツェルが、特許を申請してパリで製造を始めたといわれています。

実はこのメルツェルは、私が調べているところ、
なかなかの小狡いヤツで(笑)

メルツェル(1772 – 1838)はドイツのレーゲンスブルグの出身で、
父はオルガン製造家だそう。
ベートーヴェンと同時に生きた「発明家」として
ニューグローブ音楽辞典に記載されています。

メルツェルは20歳の頃にウィーンへ移り住み、
音楽を教えながら、
自動演奏装置の製作に専念して生計を立てていたそうです。
自動演奏装置、と聞くと、頭の中に
はてなマークが浮かび上がりますが、
ウィーンでは、「宮廷機械技師」に任命されていたそうですから
その当時ではかなり有名人だったのではないでしょうか。


また補聴器も製造し
難聴のベートーヴェンは
そのうちの一つを長年に渡って使用していたとのことでした。

メルツェルとベートーヴェンは親しく、
ベートーヴェンが経済的に窮地に陥った際には
メルツェルがお金を貸与していたこともあるそうです。

しかし、
メルツェルがベートーヴェンの作品を
自分の作品として発表しようとしたことで
ベートーヴェンの怒りを買う、という事件が起こります。


ここでは、その詳しい経緯は文字数の関係上省きますが
興味がある方は《戦争交響曲》で検索してください。

このメルツェルがどうやってメトロノームを
作るに至ったかというと、
それは1815年に遡ります。
アムステルダムを訪れたメルツェルは
そこでデートリッヒ・ヴィンケルが製作した
音楽拍節機が大変巧妙にできていることに感心し、
見たままに、その機械をパリで複製します。
その機械にメモリを付け加えて、特許権を取得。

1815年製のメトロノーム
https://en.wikipedia.org/wiki/Johann_Nepomuk_Maelzelより

ウィンケルは訴訟を起こし勝訴はしたものの
すでにメルツェルは
自分の名前で大量の機械を販売していていて
ウィンケルが騒いでも後の祭り・・・
特許権がなくなった今も
メトロノームにはメルツェルの名が付けられています。

メトロノームは、今でも原型のまま生産されているのですが、
最近は、デジタルのものも増え、
さらにスマフォの普及によって
アプリでいつでも身につけられるようになりましたね。

音楽の速度設定には
昔からさまざまと議題に上がったようですが
1752年にヨハン・クヴァンツによって出版された
『フルート奏法』のなかに
速度は人間の脈でとる、という記述があります。
水野は、この部分に焦点を当て
イタリアの大学卒業論文を書いたのですが、

18世紀の作品を演奏するにあたっては
まだメトロノームは出現していなかったので
『フルート奏法』に書かれている
当時の拍の取り方や、拍に対する考え方、などは
執筆しながら、非常に勉強になりました。
メトロノームという機械は便利だけれど、
でも、音楽というのは機械で計りえないものなので、
本気でバロックを勉強したい人は、
『フルート奏法』を読むことをおすすめします。

メトロノームの使い方

さて、ここからは実際の使い方について。

メトロノームが苦手な方は、結構いらっしゃるかと思います。

その理由は2つあって、
まず一つは
・弾けるところは速く弾いて、弾けなくなると遅くなるから。
という技術的な問題と
もう一つは
・拍子が取れないから
という感覚的な問題です。

ようは、きつ〜い言い方をすれば
「自分が弾きたいように弾いている」からなんですね。

どちらも独学では絶対習得できないことです。
上手くなりたければ必ずレッスンへ行ってください。

そして、先生に、
技術的な問題を克服するための練習法を教わって、
難しいところ、弾きづらいところが
ある程度弾けるようにしてから
徐々にテンポアップをしていくようにしてください。
初めから自分が弾けるところ
(だいたいが曲の冒頭部分が多いですが)
のテンポをデフォルトにしては、
いつまで経っても弾けるようにはなりません。

それから、2つ目の、拍子が取れない、
という問題を解決するためには
まずは、2拍子、3拍子、4拍子の
どこを強拍にするのかを知り、
次に音価の基本となる音符は何なのか
(4分音符なのか、8分音符なのか、など)
ということを把握した上で
まずは音の少ない楽曲を使いながら
音楽の流れを止めない拍感を育むことが大切かと思います。

その助けに、メトロノームを活用していくといいですね。
自分の脈拍と同じように、
自然にメトロノームの助けを借りられるようになるといいですね。

ちなみに、水野は、
♩=60 と♩=80の速さを記憶していて
そこから曲の速度を作っています。

ではまた!

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